第35章 闇の男爵夫妻
優作「所で、今日はこれから梅の仕込みの講座なんだってね?
講座の前に時間を取らせてしまって、済まなかったね。
どうぞ予定通り、キッチンはお使いください。」
椛「…良いのですか?」
優作「えぇ、もちろん。
もし良ければ講座が終わった後、また話をしたいのだが?」
椛「私は大丈夫ですが…」
斜め向かいにいる沖矢に視線を向けると、目が合い、小さく頷いていた。
そんな2人の様子を見て有希子は…
有希子「ねぇねぇ!
良ければ私も混ぜてもらえないかしら?
梅の仕込み、やった事ないのよね!
今日は梅干しを仕込むのよね??
梅干し作り、ずっとやってみたいと思ってたのぉ〜♪」
まるでワクワクを隠しきれないといった様子の有希子に、思わず頬が緩む。
椛(有希子さん、本当可愛い人だな…)
沖矢「私はもちろん構いませんが。
どうですか?
椛先生?」
椛「私ももちろん問題ないです。
そう言って頂けて嬉しいです。
是非一緒に仕込みましょう♪」
有希子「やった!」
『書斎で作業をする』と言ってリビングを出ていく優作を、3人で見送る。
事前に、今日使用する梅を工藤邸に送っていた椛は、熟成させていた梅の様子を真っ先に確認したいのか、キッチンに先に入って行った。
椛から事前に指示を受けた通り、届いた梅は全て箱から出し、ボールに移して、キッチンカウンターに既に綺麗に並べてある。