第34章 アウトレットパーク暮張
椛「そうですか…」
風見からの言葉にまだ納得しきっていないのか、彼女の表情は晴れているように見えない。
風見「まだ何か気になる点でも?」
椛「気になると言うか…
とにかく、彼の仕事の足を引っ張る様な存在だけには…
なりたく無いんです。」
公安と関わると言うことが、どう言うことか理解しているのか…
念には念をと言った所だろう。
今、降谷の近くにいるという事は、
『狙われて相手方に利用される可能性がある』
という事を示唆しているのだろう。
『自分の身を案じている』
と言うより、
『仕事の邪魔になりたくない』
と言う様な思いが強いのか…
彼女の言葉と態度から、そんなニュアンスが見て取れた。
風見(この人は…)
『何と言ったら、納得してもらえるのだろう』と少し言葉を選びつつ、彼女の言葉に答える。
風見「貴方の言いたい事は、よく分かりました。
しかし、降谷さんは椛さんの事、そんな風に思って居ないですよ。
むしろ頼りにしてると思いますよ。」
椛「…
そうかな…」
風見「自分は部下ですが、仕事をしていても、何と言うか…
それでも、一匹狼感がある人でした。
もちろん、仕事内容的な要因も有りますが…
そんな人が、部内の人間以外に信頼を置いている所を、降谷さんと関わってから自分は初めて見ましたよ。」