第34章 アウトレットパーク暮張
椛「いえ、初めてでしたよ。
まさかまさかでした〜!
ホントびっくり!」
『ビックリ』と言葉で言ってはいるものの、対して驚いている様子は先程見受けられなかった。
一体どう言う事なのかと、風見の頭の上にクエッションマークが飛ぶ。
風見「全くもって意味がわからないのですが…
随分と落ち着いていた様に見えましたが?」
椛「あんな状況で、周りが慌てた様子を見せたら、それこそ百合さんの身体に差し支えるでしょう?」
風見「それはもちろんそうですが…
分かるように説明していただけませんか?
咄嗟の行動にしては的確すぎますよね?」
その質問に答える事を少し考えあぐねているのか、視線を合わせようとしない椛の様子に、風見は小さく溜息を漏らす。
風見「先程は緊急事態だったから、罪には問われないですが、事が事だったら…
もし赤子が死産だったら…
ややこしいことになってましたよ?」
椛「それは分かっているけど…
あんな状況で、何もせずにほっとくなんて、どっちみち出来なかったし…
ちょっと男性に話すにしては、恥ずかしいというか…
言いにくい…」
風見「?
どういう事ですか?」
2人の間に、噛み合わない様な、深妙な空気が広がる。
どっちみち説明しないと納得してくれないと思ったのか、椛は少し重たい口を開く。