第34章 アウトレットパーク暮張
エレベーターの1番手前にいた男は、流石にこの状況で逃げられないと観念したのか…
大人しく警察に投降する。
続けてすぐに救急隊員がエレベーター内に入ってくると、状況を見て察したのか、ストレッチャーに百合と、まだ臍の緒が繋がったままの赤子を抱き上げて乗せる。
ストレッチャーに乗せられて安心したのか、側に居た椛に声をかけた。
百合「椛さん、本当にありがとうございました。
もし良ければ連絡先を教えて頂けませんか?
落ち着いたら、助けて頂いた御礼をさせて下さい。」
椛「いえいえ、そんな。
2人が無事で本当に良かったですよ。
私のことは気にしないで下さい。」
百合「そんな訳にもいきませんよ。
先程のバスタオルだって…
椛さん達の買い物した物だったんですよね?
後お洋服も…」
椛「そんなのまた買い足せば良いので。
大した問題じゃないです。」
救急隊員「ご協力頂きまして誠に有難うございました。
お話中申し訳ないですが…
急ぎ病院に向かいます…」
椛「はい、どうぞ行ってください。
よろしくお願いします。」
百合「あっ!!
ちょっと!!
待ってください!!」
その様子を隣で見ていた風見は流石に見かねて、百合に向けて飛田の名前で作ってある名刺を、1枚差し出した。