第34章 アウトレットパーク暮張
産まれたばかりの赤ちゃんをバスタオルで包むと、百合に見えるように抱き上げて、抱きしめられるように胸に寝かせてやる。
百合「本当…
こんなに小さいのね…
貴方もよく頑張ったわね。
偉いわ…」
涙を浮かべながらも嬉しそうに微笑む百合。
そんな百合の姿を見ていると、こちらも胸が暖かくなる。
そんな感情に浸っていると、ふと目の前からグズリと鼻を啜る音が聞こえた。
椛「飛田さん…」
そこには瞳に涙を溜めて、鼻を啜っている風見の姿が…
風見「すみません…
なんか自分、感動してしまって…
百合さん…
本当におめでとうございます。」
百合「ありがとうございます…」
風見「いえ、自分は何も…」ぐすり
百合「貴方達も…
手を握ってくれて…
ありがとう…」
女子高生1「私たちはそんな…」
女子高生2(照…)
引き続き鼻を啜っている風見の両隣りで、無事産まれた事に安心したのか、一気に緊張感が解けて、腰が抜けた様に座り込む女子高生2人。
そして百合の言葉が嬉しかったのか、頬を赤らめて照れている様子が見てとれた。
椛(はぁ…
とりあえず、本当よかったわ…)
無事産まれた様子に皆がホッと息をついてると、「ガタン」と言う音と共に停止していたエレベーターが動き出し、扉が開く。
開いた扉の先には多くの警察官と、救急隊が勢揃いで待ち構えていた。