第34章 アウトレットパーク暮張
百合の呼吸が整うと、呼吸に合わせて更に赤ちゃんが降りてくる。
椛「百合さんもうちょっと…
もう少しで頭が全部出ますからね。
吸って〜…
吐いて〜…」
痛みがピークなのだろう。
瞳に涙を浮かべながらも、必死で呼吸をする百合の姿に、手を握りしめる両側の2人も心を揺さぶられたのか…
女子高生1「百合さん!!
頑張って!!」
女子高生2「うん!
もう少しだよっ!
頑張って!!
百合さん!」
いよいよお産が始まった為、手錠をかけられた状態の男も、流石にこの緊迫した状況に、いても立っても居られなくなったのか…
風見の後ろから少し遠慮がちに、そして不安そうな表情で様子を見ている。
百合「ふうっ…
ふぅ〜…
んんっ〜!!」
赤ちゃんの頭が抜け出ると、そのままするりと全身が出て来る。
椛は頭と首を支えながら、赤子を支えて取りあげると、しっかりとした産声を上げ始めた。
「おぎゃあ!おぎゃあ!おぎゃあ!…」
椛「元気な女の子ですよっ!
百合さん!!
おめでとうございますっ!
誰か!
時計!
時間確認して!」
女子高生1「はぁ…
良かった…」
風見「16時35分です!」
女子高生2「凄い…
本当に産まれた…」
男「…」
椛「初産とは思えないぐらい、スーパースピード安産でしたね…
百合さん、とっても上手でした。
よく頑張りしたね!
もちろん赤ちゃんも♪」