第34章 アウトレットパーク暮張
椛「飛田さん!
ボサっとしない!!
早く!!」
風見「あっ!!
はいぃぃっ!!」
手錠だけかけた状態の犯人を放置して…
と言っても、
エレベーターは緊急停止している為、中からはまだ開かない。
そして、どちらにせよ誰もここから出る事は出来ない。
犯人を拘束するよりも、優先すべき事を風見も瞬時に判断して行動に移す。
犯人も流石のこの状況に、なす術もなく、あたふなしながら様子を伺っている。
女子高生達は少し不安な表情を浮かべながらも、椛の指示通り女性の両側に座る。
少し躊躇するように手を伸ばす、女子高生2人の様子を見て…
椛「2人がしっかり手を握ってくれれば、妊婦さんも安心するから。
貴方達の力を貸してあげて。」
そう言って、女子高生2人に、それぞれ微笑みかける椛。
その言葉を聞くと、腹が決まったのか、2人はそれぞれ両手でしっかりと、女性の手を握りしめた。
椛「私の名前は椛と言います。
お姉さんは?」
人質女性「うっ…はぁはぁ…
百合です…
っ…
椛さん…?」
椛「百合さん…
大丈夫。
息をしっかり吸って。
無理に力まなくて良いですからね?
赤ちゃんはちゃんと、自分の力で出てきますよ。
百合さんの赤ちゃんの力を信じてあげて。
吸って〜吐いて〜…
吸って〜…
そうそう、上手ですよ〜」