第34章 アウトレットパーク暮張
椛「…横になれますか?
お姉さんが一番楽な姿勢になりましょうか?
貴方たち?
そのショップ袋の中に、タオル類入ってる紙袋あるから、バスタオル出して広げてもらえる?」
女子高生2「あっ、はいっ…」
椛「彼女が横になる下に敷いて。
あと、男性陣の目隠しになるように腿にかけて。」
女子高生2「はいっ!」
1人は状況を理解してきたのか、椛の話に即座に反応して、紙袋を漁りバスタオルを広げる。
そんな様子を隣で見ていたもう1人も、友人の様子を見て、作業を手伝い始める。
人質女性「うっ!!」
椛は女性の腰を摩りながら、もう片方の手は、引き続き入口の状況を確認していた。
電話を切った風見は…
風見「椛さん!
救急車、あと15分ぐらいかかるそうです!」
椛(15分か…)
人質女性「ああぁっ!!
ダメっ…産まれちゃいそう…」
椛(ダメだ…間に合わない…)
女性の言葉に一気に周りに緊張感が走る。
張り詰めた空気の中、凛とした声で言葉を発したのは…
椛「ここでこのまま取り上げます。
飛田さん、彼女の頭の方に回って。
膝を貸してあげて下さい。
彼女の背もたれを作ってあげて。
貴方たち?
彼女の両側に座って、それぞれ手を握ってあげて?」
風見「えっ!?」
風見の偽名を呼び、テキパキと指示を出す椛に対して、風見は犯人を拘束しながら、手錠をかけ終わると、一瞬驚いた表情を彼女に向ける。