第34章 アウトレットパーク暮張
椛「さっきから黙って聞いていれば…
何なの貴方…」
風見の広い背中に庇われていたが、後ろから静かに出てきて風見の隣に並ぶ。
風見「椛さん!ダメです!
危ないから下がっててください!」
再度、後ろに押しやろうとする風見の腕を静かに払うと、風見の少し前に足を踏み出す。
椛「貴方、その女性が今、どんな状態か分かって人質に取ってるの?」
男「なんだテメェ!
女は引っ込んでろ!」
椛「はぁっ?
その女性、どう見ても臨月近い妊婦さんでしょ?
これから、新しい命を産み落とそうとしている尊い女性に対して、刃物突きつけるとは…
どう言う要件だよ!?
引っ込めるのは貴方のそのナイフの方でしょうが!」ゴォォォォォォォ
女子高生1「っ…」
女子高生2「ヒッ…」
彼女の気迫を後ろ姿から感じ取ったのか、女子高生2人はお互いを抱きしめ合い萎縮する。
すぐ側で、そんな女子高生と椛の様子を見ていた風見は…
風見(めちゃくちゃキレてるな…
この人…
普段の明るく柔らかい雰囲気とは裏腹に、本質は激情家タイプか…)
いつも一番近くにいる、同じく感受性豊かと言うか…
時に恐ろしい程冷徹な…
上司の顔が一瞬、風見の脳内にチラつく。