第33章 ゼロのコーディネート
彼等が自分たちの仕事に対して、誇りを持っていることは勿論のことだろうが…
こんなに必死で日々真髄に向き合っているのに、日の目に当たらない事をなんとなく不憫に感じた。
もちろん、当人たちは日の目に当たりたくて、仕事をしているわけではない。
そんな事、なんとも思っていないだろうが…
椛「風見さん、こちらこそ言葉足らずですみませんでした。
そうおっしゃって頂けるなら、私で役に立てるなら、もちろんお手伝いします。
ご一緒させて下さい。」
彼女の言葉に、ゆっくりと顔を上げる風見。
そこには柔らかく微笑み、視線を風見に向ける彼女の姿があった。
普段、女性にあまり免疫がないのだろうか…
風見は思わず目を見開いて、そして顔に熱が集まる事を感じる。
すると突然パッと進行方向の方を向き、メガネの位置を指で直すと、ハンドルに手をかける。
風見「そ、そ、そ、それはよかったですっ!
ありがとうございますっ!
助かりますっ!!
で、で、ではっ、行きましょうか!!」
再び吃り始める風見の姿に、なんとも言えない微笑ましさを感じてしまう。
椛「そうですね。
よろしくお願いします。
ふふふっ♪」
最後は流石に、笑みが隠しきれずに溢れてしまっていたようだ。