第33章 ゼロのコーディネート
彼女の言葉に背中を押されたのか、渋々と話し始めた。
風見「実は…
少しラッキーだと思いました。」
椛「えっ?」
(ラッキー?)
風見「…降谷さんの服を選ぶことは、仕事と分かっていても、正直いつも骨が折れます。
もちろん仕事なのでこなしますが。」
淡々と話をしてはいるが、なんとも言えない気苦労と言うか、気遣いが伝わってくる。
風見「貴方は元々服飾関連の方ですよね。
そんな方が、一緒に同行して頂けるなら
正直、
『いつもより悩まずに、服の買い出しを終えることが出来る』
と思ってしまっていました。
公安として、部下として失格です。」
椛(風見さん…)
風見「こちらこそ、言葉足らずですみません。
結城さんが良ければ、このまま予定通り一緒に買い出しに行って頂けませんか?」
そう言って軽く頭を下げる風見。
そんな風見の様子と話をして聞いて見て、早とちりしてしまっていた事が分かり、罪悪感に苛まれる椛。
椛(風見さんだって、エリート中のエリートだろうに…
そんな風見さんでも本当、気苦労が絶えないのか…)
警察官の中でも、優秀な人選が集められる公安部。
優秀が故に、皆プライドも高いと聞く。
風見もそんな中の1人だろう。
そんな風見が苦労していると言うなら…
椛(零の部下って、本当よっぽど大変なんだろうな…)