第33章 ゼロのコーディネート
降谷「風見…
そんなに動揺しなくてもいいだろ。」
風見「もももっ、もっ、申し訳ございません!」
引き続きどもりながら返事を返す風見に、流石に少しあきれ顔だ。
降谷「俺に恋人が出来たことが、そんなに意外か?
何か聞きたい事があれば答える。」
買い出し当日になればわかる事だろうが…
降谷のその言葉に、聞いてもいいものかと思った一番聞きたかった事を、自身の上司に尋ねる。
風見「その方は…
どこのどなたなのか、聞いてもよろしいでしょうか?」
降谷「風見もよく知っている。
直接話したことはないだろうが。
ずっと正体を探っていた彼女だ。」
風見「えっ?」
降谷は「彼女の正体は公安の…
上層部の協力者だった。」
『黒田直属』という言葉は濁し、風見に彼女の正体を伝える。
黒田にも事前に、風見には彼女の正体を明かしても問題ないと、許可は取ってある。
降谷の言葉を聞いて、彼女の身辺調査をしていた風見は色々と辻褄があったのか、少し納得したような表情を浮かべていた。
風見「そうでしたか…。」
降谷「日程の件、確認してまた連絡する。」
風見「かしこまりました。」
降谷「それともう一つ」
風見「はい!何でしょうか?」
降谷「俺が組織の方で遠方に行っている時は、
風見も彼女に力に…
俺の代わりに守ってほしい。」
そう言った降谷は、いつもの厳しい表情ではなく、何か慈悲を帯びた困ったような表情をしていた。