第33章 ゼロのコーディネート
本人はあまり自覚がないのか、最後は結局笑って誤魔化したようだ。
だが、もちろんそんな彼女の真意など、黒田にはお見通しだろう。
最後に見せた笑みは少し困っている様にも見えた。
エレベーターを降りて、廊下を進むととある扉の前で止まる。
黒田「アイツらの事だ。
もう中にいるだろう。」
そう言って中に入る事を促されるが…
椛「?
一緒に入らないんですか?」
黒田「あぁ、私はここまでだ。
後の事は2人に任せる。」
椛「そうでしたか。
部屋まで送って頂き、ありがとうございました。
また来週よろしくお願いします。」
黒田「こちらこそ。
またよろしく頼む。」
去っていく黒田を見えなくなるまで見送ると、目の前の扉を控えめにノックする。
ドアノブに手をかけようとすると、中から先に扉を開けられ、扉の隙間から扉を開けた人物が顔を覗かせた。
降谷「椛。」
椛「零…」
降谷「待っていたよ。
どうぞ。」
椛「ありがとう、失礼します。」
そのまま降谷に通れる程度、控えめにドアを開けてもらい、室内に足を踏み入れる。
普段は会議か何かで使うのだろう。
コの字に並べられたテーブルと、パイプ椅子。
そんな室内には、降谷以外にもう一人の男性の姿が…
姿勢を正した姿で、こちらに体を向けていた。
少し神経質そうな顔に、眼鏡をかけている。
身長は降谷と同じか、若干高いぐらいだろうか。
初対面でも分かる程、驚いた表情でこちらを見つめていた。