第33章 ゼロのコーディネート
椛「黒田さん、あの…」
その先が少し言いづらいのか、言い淀む椛。
黒田「なんだ?」
椛「私から直接、黒田さんに報告出来ず…
すみません。」
まさかそんな事を彼女が気にしているとは黒田は思っていたかったのか、少し面食らう。
黒田「いや、そこは気にする様なことでもない。」
椛「そうですか…?」
黒田「あぁ。」
椛「…
やはり、付き合うのは立場的に不味かったですか?
黒田さんは、彼からその件について話を聞いた時、どう思ったんですか?」
黒田「…
2人がそう決めたなら、私が横から言う事は何もないさ。」
椛「そうですか…」
黒田「あまり大きな声では言えないが…
立場を差し引いて、純粋に一個人として受け取るなら…
まぁ、嬉しかったがな。」
椛「えっ?」
黒田からの思わぬ背中を押される様な言葉に、椛からは思わず驚きの声が漏れる。
黒田「あいつは人一倍正義感が強い分、無茶ばかりするが…
だが、帰る場所があれば…
意地でも戻ってくるだろう。」
椛「黒田さん…」
そう言った黒田の表情は、厳しくも部下思いな、上司としての姿が垣間見えた。
黒田「これからも降谷の事、よろしく頼むよ。」
椛「そんな!
おこがましいです…
けど、私で出来る事があれば…
彼が望む限り側にいます。」
黒田「あぁ、そうしてくれ。
けど、くれぐれも無茶はするなよ。
椛さんは思っていた以上に、きっぷが良いからな。」
椛「あははは…
そうですかね…」