第32章 装飾品の秘事
椛「…博士は何故、私を庇ってくれるんですか?
新一君から聞いてるんですよね?
最近のあらかたの事…」
彼女の言葉に、一瞬困ったように間が開くが…
博士「…バーボンの正体の件かの?」
博士の口から出てきた、コードネームを聞くと、知ってはいても彼の必要悪の立ち位置に、何とも言えない複雑な感情が椛の胸の中を通り過ぎた。
椛「それもそうだし…
新一君みたいに…
と言っても、今は私の事自体はあまり疑ってないみたいですけど…
私は安室さんと良く一緒にいるわけだし…
疑ったりしないんですね…」
暫く2人の間に沈黙が落ちる。
そんな中、口を開いたのは…
博士「安室君との関係の話も聞いておるが…
わしゃ〜天才じゃが、
新一みたいな探偵では無いし…
人の心を詠んだりする事は、あまり得意ではないが…
椛君の事は悪人だと思っとらんし、
赤井君も君の事を白というなら、間違いなく白だと思っておる。
それに…」
椛「?
それに…?」
少し言い淀み、間を開けた博士に疑問を思いながらも、次の言葉を待つ彼女。
博士「安室君の件も…
わしにはどうも…
彼が悪人には見えんがのぅ…」
椛(博士…)
表情を変えずに、博士を見つめ続ける椛。
博士は博士で、新一達の手前もあるのか…
本当に思っていた事を口に出してしまった事に、罪悪感があるのか…
『言ってしまった』と少し気まずそうな様子に、彼女からは見えた。