第31章 エルダーフラワーかローズか否か
今の会話の中で、『可愛い』と言われる様な要素があっただろうか…
思い当たる節が全く見当たらず、首をかしげる女子三人。
椛「さっきの二人、かまってアピールをしながら、キャンキャン吠え走り回る子犬みたいで…
可愛いよ♪」
声のトーンを変えずに、なんて事もないように言い切った椛の発言に、女子三人は一瞬で固まる。
そして当人は涼しげな表情で、紅茶のカップに口をつけている。
そんな椛の様子を見て、何かを悟ったような表情に切り替わる女子三人。
園子(あぁ~…
椛お姉様って…)
蘭(敵にまわしたら…)
梓(絶対勝てないタイプの人だわ…)
安室「あはははは~!」
そして、そんな女性陣の様子を、カウンターの中から楽しそうに見守っている安室であった。
その後、結局、園子と蘭が来店したことにより、おしゃべりに花が咲く。
予定していたパソコン作業は諦めて、先ほどのひと悶着の間に冷めてしまったドリアを頂きながら、ポアロでの時間は過ぎていった。
椛「園子ちゃん、蘭ちゃん、私次の予定があるからそろそろ行くね。」
蘭「そうだったんですね。
引き留めて決まってすみません。」
椛「ううん、私も話ができて楽しかった。ありがとう。」
園子「椛お姉様。
また時間があるときにゆっくにお話ししましょう。」
椛「えぇ。」
荷物をまとめると、伝票をもってレジに向かう。