第31章 エルダーフラワーかローズか否か
新しいお客様が来店された事と、食事が終わったお客様が退店された事で、本来の通常業務に戻った安室と梓だったが…
気になるのは、取り残された形になってしまった奥のテーブルに座る女子高生2人。
椛(あの子たち…
大丈夫かしら…)
盛り上がっている園子と蘭の話を隣で聞きながら、再度後ろを振り向き、奥のテーブル席の様子を確認する。
今だ放心している友人に、
『もう今日は帰ろう』と、一人が声をかけている姿が目に入る。
怒り狂ってると思っていたが、帰り支度をしている2人の様子は肩を落として、少ししょんぼりしているように見える。
椛(『恋は盲目』状態だったのかな?
非があった事は理解しているのかな…)
お店の、一番入口側のカウンター席に座っている椛。
荷物を持って席を立ち、レジに向かってくる彼女たちを横目で確認する。
そして会計が終わったタイミング声をかけた。
椛「貴方たち?」
まさか声をかけられるとは思っていなかったのか…
椛が声をかけると、ビクリと肩を揺らす女子高生2人。
先ほどまでの威勢はどこにいったのやら。
流石に『やりすぎた』と思っているのか…
カウンターの中にいて様子を窺うように、こちらに目を向けている安室の方すら、女子高生2人は見ようとしていない。