第31章 エルダーフラワーかローズか否か
女子高生2「とにかく!
同じ物を私達にも下さい!安室さん!」
女子高生1「おばさんと同じ物って言うのはちょっと癪だけど…
さっきからすごい良い匂いが漂ってるんだもん!
私も食べたい!」
何と言うか…
実際に表情が見えている訳では無いが、
こちらに背を向けている安室から、何か黒いものが湧き上がっている様に見えてくる椛と梓。
安室は蔑まれた呼び方をされた本人では無いのにも関わらず、一番怒っている様に背中からも見える。
椛(彼女達、あんな事言って…
自分を下げるだけなのにな…)
店内にいる全員が、彼女達の発言に耳を傾けて視線を向けている。
そんな中、口を開いたのは…
安室「あちらは残念ながらお出しする事は出来ません。
まだメニューに乗っていない品ですし。
先ほど出した分で終わりですよ。」
営業スマイルを貼り付けて、至って普通に返答を返す安室。
女子高生1「ええっ!!ズルい!!
何であの人だけ?」
女子高生2「そうだよ!!安室さん酷い!!」
安室の返答が気に入らないのか、すかさず食ってかかる2人。
安室「あれは新メニューの企画段階なので。
意見を頂戴する為に、試食を僕からお願いしていたんです。」