第31章 エルダーフラワーかローズか否か
安室「いらっしゃいませ。
椛さん♪」
椛「こんにちは、安室さん。」
カウンター席の椅子に座っている椛は、いつもより高い位置にある安室の顔を見上げる。
久しぶりに見るポアロ仕様の彼の姿は、何故だかとても微笑ましく、そして平和な感じがした。
安室「お待ちしておりましたよ♪
何飲まれますか?
いつもの紅茶でよろしいでしょうか?」
椛「えぇ、それでお願いします。」
安室「かしこまりました♪」
当たり前と言えば、当たり前だが、至って自然にポアロ通常モードの対応を取る安室。
そのままカウンターに入るのかと思えば、椛に視線を合わせたまま、声は出さずに、口元を動かす。
安室(お腹は?
空いてるかい?)
安室の口元を読むと、椛は微笑みながら軽く頷きを向け、右手を小さく自身のお腹に当てて、お腹が空いている事をアピールする。
安室(待ってて♪)
再び口元を動かした安室に、笑顔を向ける椛。
彼女の表情を確認すると、安室も微笑みながら頷き、カウンターに入って行った。
カウンターに入って行った安室を確認すると、再びパソコンの画面に目を向ける。
そこにはこちらの様子をずっと観察していたのか…
ジッとこちらを睨みつける様な、女子高生達の姿が映っていた。