第31章 エルダーフラワーかローズか否か
思いの外、集中したからだろうか。
今日はかなり遅めのランチの予定だった為、朝軽く食べたが、思いの外お腹が空いて来た。
予定通り、移動すると、次の目的の場所が見えてくる。
扉を開けると、久しぶりに聞くドアベルの音が心地よく耳に響いた。
カランカラーン♪
梓「いらっしゃいま〜…あっ!!
椛さん!!」
入ってきた椛の姿を確認すると、すぐ様駆け寄ってきた梓。
梓「椛さん!!聞きましたよ!!
事件に巻き込まれて、怪我して大変だったんですってね!?
心配しましたよぉ〜!」
椛「梓さん、心配してくれてありがとう。
もう大丈夫だから♪」
大きな声で心内を伝え、心配そうに顔を覗き込んでくる素直な梓の姿が可愛くて、思わず笑みを浮かべる椛。
いつもは何処の席が良いか聞いてくる梓だったが、今日は少し気まずそうに、そのまま入り口側のカウンター席に通される。
店の一番奥のテーブル席には、2人組の女子高生が座っており、仕事の合間に勉強を教えていたのか、テーブルの脇に立ち腕を掴まれている安室の姿が見えた。
安室も椛が店に入ってきていた事は気付いていたが、梓に先を越された様だった。
そんな奥のテーブル席の様子を視線の横で確認して、カウンター席に座る。