第31章 エルダーフラワーかローズか否か
色々納得したのか、再び服を物色しながら笑い始めた彼の様子に、
『何がそんなにおかしいのか。
こっちは至って真面目にやってたのに。』と少し拗ねる。
椛「そんなにおかしかった…?」ジト目
少し恨めしそうに彼のことを見上げるが…
降谷「いや、椛のそういう所、凄く好きだよ。
自分の力を過信しないで、ちゃんと現状を判断して、直向きに努力し続ける事が出来る所。
皆が皆、必ず出来るような事じゃないさ。」
そう言って、先程から物色しているクローゼットの中から、ハンガーにかかっている服を取り出して彼女に見せる。
降谷「これなんかどうだい?
今日は狙撃手兼音楽家のお姉さん?」
そこには常磐色のワイドパンツと、オフホワイトのシフォンとレースのブラウス。
そしてアクセント用の撫子色の総柄のスカーフ。
初夏手前の季節には、ちょうど良い生地感だろう。
椛「私の服だし、もちろん全然良いけど…
零はもしかしてグリーン、好きなの?」
彼女の言葉に、少し考え込むが…
降谷「いや、特別意識した事ないな?
なんでそう思ったんだい?」
椛「この間プレゼントしてくれたワンピースにも、グリーンの色味が入っていたから。」
『確かにそう言われればそうだったな』なんて思うが…
降谷「いや、それはたまたまかな。
今日は、これがいいかなと思っただけだよ。
椛は何の色でもよく似合うし、着こなすからな♪
選び甲斐があるよ。
椛の服を選ぶの、やはり楽しいな。
新しい発見だ♪」