第31章 エルダーフラワーかローズか否か
出会ってから今の今まで、共にいる時に事件に巻き込まれても、いつも慌てず騒がす、至って冷静に状況判断を下している彼女の根幹が垣間見えた気がした。
降谷「はぁ…
能力の鍛え方…
間違ってる…」
椛「あははははっw」
先日、彼女から言われた言葉を覚えていたのだろう。
ここでそのフレーズが出てきた事に、彼女は再び楽しそうに笑い声を上げていた。
降谷「だが、椛、もう大丈夫だ!
安心してくれ。」
急に向き直ったと思えば、未だ外気に晒されたままの椛の両肩をガシッと掴み、目線を彼女の高さに合わせる。
椛「うん?」
降谷「俺は椛の『元彼』にもならないし、『ストーカー』にもならない!
それに今後、椛をつけ回すようなそんな男は出てこない。
なぜなら迷惑防止条例違反で俺がさっさと捕まえる!」
至極真面目な顔でそんな事を告げる降谷の勢いに、思わず後退りそうになるが…
椛「おっ…
う、うん…
そうだよね、分かった。
ありがとう。
頼りにしてます。」
彼女からの返事を聞くと満足したのか、満足そうに力強く一度頷くと、掴んでいた両肩を離して、再びクローゼットの中を確認し始めた。