第31章 エルダーフラワーかローズか否か
降谷「何の準備をしているんだい?」
後ろから抱きしめたまま、彼女の手元を覗き込む降谷。
椛「なんか温かい飲み物飲みたくて。
ハーブティーを淹れようとしている所だよ。」
降谷「ハーブティーか。
良いな…
そしたらここからは俺が変わるよ。
シャワー先にありがとう。
椛もゆっくり浴びておいで。」
彼の言葉に上を見上げると、優しい笑みを讃えている彼の穏やかな表情が目に映った。
椛(あぁ、私…
零のこの柔らかい笑顔、本当に好きだな。)
彼のライトブルーの瞳を覗き込み、自身が映っていることを確認すると、酷く心が満たされる。
椛「じゃあ、お言葉に甘えてお願いしようかな。」
降谷「あぁ、もちろん、良いよ♪」
身体を反転させて彼の胸に顔を埋め、一度ギュッと抱きついてお礼を言うと、夜の香りを落とす為、浴室に向かって行った。
椛もシャワーを浴び終わると、リビングに戻ってくる。
先程、彼に託したハーブティーの香りがリビング全体に漂っていた。
降谷「おぉ…
朝からサービスショットだな。
俺を煽っているのか?」
先程、椛が言った言葉をなぞって返される。
椛がシャワーを浴びている間に着替えたのか、すっかりいつもの私服姿の降谷と、バスタオルを身体に巻いただけの姿の椛。