第30章 ティラミスの行方
降谷「お風呂…
もう入ったんだな。」
椛「うん、思ったより時間があったから。
ゆっくり湯船にも浸かりたかったし…
零もお風呂入る?
今ならすぐ入れるよ?」
椛の言葉に、抱きしめていた腕を緩めると、彼女に目線を合わせる。
普段からシャワーで済ます事が多い為、そう言われると、ゆっくりお風呂に入りたい気もするが…
それより何より…
降谷「その前に『ただいまのキス』は?」
少し目をキラキラさせて、物欲しそうな笑みを浮かべる降谷。
目の前でそんな表情を見せられると、断れる気がいつもながら全くしない。
梢(全くもう…
本当この人…
堪らないな…)
前回に引き続き、見に纏う服で一気に雰囲気が変わる彼の様子に目を奪われてしまい、ついつい忘れがちだが…
彼の様子を見る限り、ここは前回同様、譲れないポイントらしい。
目の前にある彼の表情が、愛おしい事この上ない。
ギュッと胸が鷲掴みされたよう様に、一気に胸が高鳴る。
椛「うん。そうだったね。
おかえり、零…」
降谷の要望に応えようと、彼の首に両腕を回すと、まだ少し足りない距離を背伸びをして補う。
そんな彼女を助ける様に、しっかり腰と背中に腕を回すと、グッと引き寄せて彼女の身体を支える逞しい腕。