第30章 ティラミスの行方
椛「もしもし。」
安室「椛さん、お疲れ様です。」
椛「安室さん、お疲れ様です。」
安室「今、大丈夫でした?
まだ講座中でしたか?」
どうやら運転しながらかけてきているのか、エンジン音と共に彼の声が聞こえた。
椛「講座は先程無事終わって、今、藍子さんと康彦さんと少し早めの夕飯にお寿司頂いてます。」
安室「それはそれはお邪魔でしたね!
掛け直しましょうか?」
椛「いえ、一緒にはいますが大丈夫です。
終わったのですか?」
安室「えぇ、今帰路に着き始めた所なので、道が混んでなければあと2時間半程で着きます。」
椛「分かりました。
私もその時は家に帰ってますので。
では後ほど…」
そう言って切ろうとした所で、椛の様子を見て電話先が安室だと気づいた藍子から、
『安室さんなのね?私にも変わって!』
と声をかけられる。
椛「あっ、安室さんちょっと待って!
藍子さんが話したいって!」
安室「ふふっ。
分かりました。
変わってください♪」
椛は、手に持っていたスマホをそのまま藍子に手渡す。
藍子は嬉しそうに受け取ると、電話口に向かって話しかけた。