第29章 川品中央総合病院
椛(味方にいると百人力だけど、
本当、絶対に敵に回したくないタイプの人だな、
この人…
一度敵だと判断したら、本当にどこまでも地の果てまでも追い詰めにいきそう…ハハハ…)ジト目
暫くすると、見慣れた彼女の自宅が見えてきた。
こうして送ってもらう事はもう何度目だろうか。
安室「椛さんは明後日の予定、神原夫妻の所だけなのですか?」
椛「うん、その日の講座はそこだけだよ。」
安室「そうか、翌日の予定は?」
椛「翌日?
翌日は~、1件目の予定が午後からかな♪」
安室「そしたら伊豆高原の帰り、そのまま家に泊まりに行っていもいいか?」
椛「明後日ね。
うん、いいよ♪」
明後日会える約束が出来た事が嬉しいのか、彼に向かって笑顔で答える彼女。
そんな椛の様子を眺めながら、嬉しい気持ちと少し複雑な気持ちが安室の胸の中で交差する。
安室「…意味分かって『うん』って言っているのか?」
椛「えっ?」
自宅前に着き、いつもの場所に車を停車させると、ずっと進行方向を向いていた彼の視線が、真っすぐに彼女に向けられる。
ハンドルから手を放し、左手を伸ばすと、彼女の頬に手を添える。
2人の距離が近くなると、彼の瞳の揺らめきが良く見えた。