第29章 川品中央総合病院
椛(あぁ…
そういう意味か。)
まるでいたずらっ子のような表情を浮かべながら、楽しそうに話をする彼の姿を見ていると、こうゆう所は本当少年の様だと度々思う。
椛「この間話した時から思っていたけど、黒田さんに対しては分かるけど、周囲に『付き合った宣言』する必要あります?」
彼女の言葉を聞いて、先ほどまでの笑顔はどこへやら。
一気にふくれっ面に早変わる。
椛は彼の様子を見て、慌てて言葉を続けた。
椛「あ、いや、言うのが嫌とかじゃなくて、『安室さん』の仕事しずらくなったりとか、そっちを気にしてるのよ、私は。
それに組織に目つけられたら、面倒じゃないの?」
安室「…この手の話は、人の口に戸は立てられないですよ。
どっちみち付き合ってることが、バレるのなら変に隠しておくより、最初から堂々としていた方が良いと思ったんです。
そちらの方が守りやすいですし。
対策も練りやすい。
組織の方は、椛さんの言う事はもちろん一理ありますが…
それは椛さんに想いを告げた時から覚悟の上だ。
貴方に危害が及ぶようなことは絶対させない。
俺が命に代えても守るよ。
それに、もし組織の奴らが何か手を出そうと片鱗が見えた時には、全員八つ裂きにするので安心して下さい♪」
言葉を紡ぐ彼の横顔を、隣からずっと見ていたが特に最後の一文、顔は笑っていたが、目が全く笑っていないことが、横顔からでも分かった。