第29章 川品中央総合病院
首都高速を降りると、見慣れた街並みが見えてくる。
彼との別れの時間が刻々と迫っている事を実感すると、少し寂しい。
安室「そういえば、今週末…
もう明後日か。
椛さんは来れないんだって?
声をかけたけど、仕事が入っているから無理だと連絡が来たと、園子さんから聞きましたよ。」
椛「そうなの~!
休んでいた間の振替した講座がその日入ってて。
見たかったな~、安室さんのテニスプレイヤー姿。
悔やまれる。
とても悔やまれる…
とても悔やまれる…」
明後日、安室は園子に頼まれて伊豆高原の別荘でテニスのコーチをする事になったと話を聞いている。
抜糸明けなので、流石にプレイは控えたいが、
『是非一緒に行きましょう!』と園子から声をかけられていたが…
一度、こちらの都合で仕事のスケジュールをずらしてもらってる手前、この日は空けられない。
急な誘いだったし、仕方がない事だが、一緒に行けないことが余程悔しいのか、横目で見る彼女の表情から、余程行きたかった事が容易に想像できる。
安室「あはははは!
椛さんがそんなにテニスが好きだっとは知りませんでしたよ。」
椛「テニスはそんなに、と言う言い方は失礼かもだけど、特別興味があるわけでは無いですよ。
『私がテニスをしたい』んじゃなくて、
私は『テニスをしてる安室さんが見たい』のよ!」