第29章 川品中央総合病院
椛「そのヒロ君のスマホ…
本当に高明さんの元に届いてるのかな?」
安室「…どう言う事だ?」
椛「長野に行った後、高明さんとこっちで会った時、ヒロ君の話をしたんだけど…
なんとなく、上手く言えないけど…
高明さんの話ぶりが、そんな感じじゃなかった気がする…」
彼女の話に安室は眉間に皺を寄せる。
椛「スマホがちゃんと届いてるか確認する事は出来ないのかな?
最悪、私が直接聞いてみる?」
班長を信頼していた為、当然のように届いていると思っていたが…
確かに、諸伏警部の元に無事届いているかどうかは確認していない。
安室「そうか…
椛がそう感じたなら、少々引っかかるな…
こっちで少し探ってみるよ。」
椛「うん…」
2人の間に少し神妙な空気が流れた。
当時の高明との会話を思い出してるのか、彼女は顎に手を当てて、未だ何やら考え込んでいる。
その様子を隣で見ていた彼は、そろそろ出発しようと、シートベルトに手をかける。
シートベルトが締まる音が運転席から聞こえて、椛もシートベルトに手を伸ばして、締める。
彼の車の独特のエンジン音と共に車を出すと、声をかけたのは安室の方。