第29章 川品中央総合病院
安室「ふふふっw
そうか、それは悪い事をしたな…
じゃあ次はどう出るんだい?」
彼の言葉を聞き、すぐ目の前にある彼の男らしくもしなやかな首筋に、椛は唇を這わせる。
そのまま彼の耳元まで辿りながら上がってくると、普段は髪で半分隠れている彼の耳を、手で髪をかき上げて露わにする。
形の良い彼の耳に唇を這わせると、耳たぶを一度甘噛みした。
耳元だからと気を使ったのだろう。
そして控えめなリップ音と共に、耳の裏に口付けを落とす。
安室「…っ」
彼女からの甘美な刺激に、思わず息が漏れる。
その声を耳にすると抱きしめる腕を緩めて、少し身体を離すと、彼と視線を合わせた。
彼の膝に乗っている椛は、低い車内の天井に、頭がつきそうになる。
この狭い空間が、抱きしめる腕を解いても、二人の身体を未だ密着させていた。
すぐ目の前には少し頬を染めて、恥ずかしくも切なそうに瞳を潤ませ、見つめてくる彼の姿。
椛「キスしたいよ…
零…」
熱を孕み、潤んだ彼女の黒い瞳が、欲に揺れながらライトブルーの瞳を見つめていた。
安室「俺もキスしたい…」
彼の言葉を合図に、自然と重なる二人の唇。
ここが車内で良かった様な、良くなかった様な…
もし室内だったら終わりが見えなくなりそうな熱い唇に、二人は一時、酔いしれていった。