第28章 早く起きた朝は
写真の説明をしようと言葉を発した彼を遮り、声を放つ彼女。
降谷「??」
そんな様子を疑問に思い、彼女の顔を覗き込むと、何故かとても懐かしそうな、そして嬉しそうな表情を浮かべていた。
椛「私当てるから…」
そう言って彼に笑顔を向けた。
それならと、彼女に任せる事にして、次の言葉を降谷は待った。
椛「1番右で、石垣に座ってポーズを取ってるのが、萩原君。」
降谷「あぁ…そうだ。」
椛「真ん中にいるのが班長。」
降谷「うん。」
椛「班長に腕を回されている、左側の彼が松田君。」
降谷「ふふっ。そうだな。」
椛「そして右側で腕を回されてるのが、ゼロ君。」
降谷「…」
降谷(この時の俺の事は『ゼロ』呼びなのか…。)
今はもう誰も呼ぶことが無い、久しぶりに耳にした昔懐かしいあだ名に、思わず笑みが溢れる。
椛「1番左端にいるのが…
ヒロ君…。」
最後の呼び方は、前の4人に比べて、随分と柔らかい言い方に聞こえた事は…
気のせいではないだろう。
全員の名前を言うと、彼女はスマホ画面から視線をずらし、再び彼に目線を合わせた。