第27章 ゼロの恋人
それになんと言うか…
説明不足以前に…
もっと根深い物を彼女から感じた。
降谷「椛?」
椛「うん?」
降谷「言葉たらずだった俺が悪かった。
今、椛が思ってることを全部聞かせてくれないか?
何故そう思ったのかも含めて…。」
椛「うーん…」
何か言いずらい事でもあるのだろうか。
いつも比較的素直に言葉に出してくれる彼女から、返答が来ない。
降谷「もし、椛が不安や疑問に思ってる事があればちゃんと払拭したいんだ。
今、考えてることを教えてくれないか?
話せる事からで良いから。」
別に彼に言いたくないわけでは無いが、何から言うべきか少し迷う…。
彼の瞳を見ると、何か不安に駆られているように少し揺れて見えた。
彼のことを、不安にさせたかった訳ではない。
椛「…想いは伝え合ったけど、
『付き合う』って言葉は無かったし…
けど、それは零からは『言えない』と思ってたし、
私からも『言うべきでは無い』と思ってた。
理由は、今、零は潜入捜査中だし、その任務の邪魔になるような事はしたく無いし。」
降谷「そうか…。」
椛「だから例え付き合えなくても、零の側にいれれば、それだけで幸せかなと思って…。
それにそもそも、公安の人って作っちゃいけない訳ではないだろうけど…
『大切な人』は作らないんでしょう?
守るべきものがあったら、任務の妨げになるよね?」