第27章 ゼロの恋人
降谷「ごった返すとまで言わなくても、
ポアロも系統的には同じだと思うが…
接客業だし。」
椛(自分にファン客がついてる自覚はあるのか…)
椛「同じ接客業でも、私以外の女性の髪を、零が触るのは嫌…」
彼女が放った何とも可愛い言い分に、降谷は心が満たされる事を感じる。
降谷(可愛すぎるだろ…
もうほんとに…)
降谷「じゃあ、美容室への潜入捜査の依頼が今後来ない事を祈ろう♪」
今後の事はわからないが、そう彼女に向けて言ったのは彼の優しさだろう。
もし本当にそういう依頼が来ても、断れない立場だという事は彼女も理解はしてる。
椛「じゃあ次交代。」
椛は気持ちを切り替えて、彼からドライヤーを受け取ると、彼の髪を乾かし始めた。
男性にしては少し長めかもしれないが、彼女に比べればもちろん大分短い為、すぐ乾く。
ドライヤーの風に当てられてなびく、ミルクティー色の髪は本当に美しい。
椛(ずっと触っていたいな…)
仕上げに櫛で軽くとかすと、洗い上がりたてのふわふわの手触りがした。
ドライヤーを洗面室に片付けに行った彼を、そのままリビングのソファに座って待つ。
降谷はリビングに戻って来ると、彼女の隣に座り、肩に腕を回すと、ギュッと抱き寄せた。