第27章 ゼロの恋人
降谷「出来たよ。」
そう言ってドライヤーを切ると、満足そうに彼女の髪を1束手に取って唇を落としていた。
しっかりブローされた髪を触ると、本当に美容院でブローしてもらった後の様な滑らかさに彼女も驚く。
椛「えっ!?
すっごい綺麗!!
零は美容室に潜入捜査してた事もあるの??」
降谷「はははっ!
残念ながら、それはまだ経験した事ないなw」
椛「えぇ〜…
信じられない…
本当になんでも完璧に出来るんだね…
沢山買い物しちゃう以外は…」
降谷「あはははっ!
それ最後軽くディスってるだろw」
軽口を叩きながら、美容師姿の彼を想像する。
どう考えても、物凄くカッコ良い姿以外、思いつかないが…
女性の指名客でごった返しそうな光景が同時に浮かび上がり…
ちょっと内心複雑だ。
椛「やっぱり…
美容師に潜入捜査はしちゃダメ…」
小さい声でボソッと呟く。
降谷「えっ?何故だい?」
その彼女の呟きは小さかったが、どうやら彼には届いたようだ。
椛「零を指名する女性客で…
ごった返しそうだから…」
顔を背けて、ちょっと拗ねたように言うその姿は、彼から見ると酷く可愛らしいものでしかない。
降谷(嫉妬とかヤキモチとか、あまり妬かないタイプだと思っていたんだが…
表に出さないだけか…)