第27章 ゼロの恋人
降谷(彼女に対する感情を自覚してから、
日に日に益々可愛く見えてくるのは、
気のせいだろうか…)
降谷がそんな事を思っていると、口を開いたのは彼女の方。
椛「零は明日は早いの?
今日は?
もうこのまま帰るのぉ?」
降谷「明日は、朝から当庁する予定だよ。
この後は、椛の様子次第で合わせようと思ってたけど。」
彼のその言葉を聞くと、まるで『パァァァァァァ』と効果音が付きそうな笑顔向ける彼女。
食器類の洗い物をしている、彼の左腕に両腕を回して体を寄せると…
椛「そしたらこのままここに残ってよ。
今日も一緒に寝よ?」
彼より幾分背の低い彼女は、傍で立って話すと、いつも自然と上目遣いになる。
未だ絶賛食器洗いの途中の降谷の手は泡だらけの為、そんな彼女に手を出すことが出来ない。
降谷(彼女にこんな事言われて、断われる男が世の中にいるのだろうか…
いや、他の男に言うのは困るし、想像もしたくない。
こんな姿、誰にも見せたくない。
それにしても…
そんな簡単に、一緒に寝ようだなんて言うなよ…
嬉しいけど……)
彼のそんな心情はつゆ知らず。
彼の腕に抱きつき、上目遣いのままの状態で、降谷の返答を待っているのか、じっと彼を見つめて離れない。