第27章 ゼロの恋人
椛「そうそう。
ご飯を炊く時に昆布を入れて炊いて、炊き終わったら梅酢かけて仕上げてるだけだよ。
米酢を使うより、まろやかで、上品な味に仕上がるでしょう?
それがうちの酢飯だよ♪」
降谷「なるほど…。
一度、梅酢で食べると、舌が贅沢になって、米酢だと物足りなくなりそうだな…」
椛「あぁ、それ…
うちの生徒さん達もみんな言ってるよw」
その話を聞いて、降谷は酢飯だけお皿に取ると、それだけ口に含み、再度味を確かめているようだ。
降谷「俺も梅干し、作り始めようかな…」
椛「あはははっ!
うち梅酢沢山あるから、あげるよ。
もうすぐ梅の時期だし。
また沢山梅酢取れるから。」
降谷「このお醤油は?
これも作ってるやつなのか?」
椛「うん、さっき絞った醤油だよ。
3年熟成物だよ。
美しくて美味しいでしょう♪」
彼女は、今もキッチンの中で現在進行形で濾している、醤油濾しに指を刺して『アレだよ』と彼に声をかける。
降谷「めっちゃ美味い…
香りもコクも甘味も全然違うな…」
椛「うんうん♪
搾りたては特に最高なんだよね。」
降谷「このガリは?
これも作ってるのか?」
椛「うん、そうだよ。
新生姜の時期は年に2回あるんだけど、その時に仕込んでる。」
椛(相変わらず凄い探究心だなw)
数日前の食事の時もそうだったが、食事のたびに尽きることの無い質問の嵐が、彼から飛んでくる。
しかし、彼女は教室でもいつも生徒さん達から似たように質問攻めに合う為、もう慣れたもので…
次々と飛んでくる彼の質問に、一つづつ答えながら、久しぶりのお刺身を堪能していた。