第27章 ゼロの恋人
椛(足りなかったかな…?
何か違ったのかな…?)
そんな彼の様子が気になり、首を傾けて再び声をかける。
椛「??
…零?」
名前を呼ばれた瞬間、ハッとした顔をして、目の前に佇む彼女を強く抱きしめた。
そして彼女の首筋に、顔をグリグリと押し付けて来くる。
椛「ええっ??
ちょっと、どうしたの?
零?」
それでも『ギューっ』と変わらず抱きしめてくる彼を、宥める様に頭に手を回して、よしよしと撫ぜる。
椛(それとも…
この数日間、組織の方で何か大変なことでもあったのかな…。)
そんな事を思い、少し心配なるが…
そんな中、降谷がやっと小さな声で呟く。
降谷「今のは破壊力が…
ヤバすぎる…」
降谷(可愛い…
尊い…
離したくない…
噛みつきたい…
…………)
どうやら彼女の心配は、要らぬ心配だった様だ。
玄関先で、少し長いおかえりの挨拶がやっと終わると、二人でリビングに入る。
降谷はキッチンカウンターに、買って来た食材の袋を置いて、広げ始めた。
その様子を彼の隣に並んで、降谷の手元を覗き込む椛。
思いの外多いお刺身の量と、そして更に気になったことが一つ…