第26章 束の間の休息
パソコン作業を今日は早々に終わらせて、デスクの上と仕事で使っていた資料類を全て片付け、目につかない様にする。
いつも仕事作業をしていたリビングから出ると、別の部屋に向かい、部屋の中に備え付けてあるクローゼットの扉に手をかけた。
椛(協力者の件引き受け手から、優先順位下げて作業出来てなかったけど…
久しぶりに服を仕立てようっと!!)
彼女がクローゼットを開けると、クローゼットと言えども、ここのクローゼットの中には普段着がかけてある訳ではない。
服を仕立てる為の機材類と、それに関する付属品類や布のストック等、必要なものが全て収納されている。
その中から服のパターンを引くための作図道具と、長いポールに巻かれたロール紙を取り出す。
そして、生地棚から生地を物色する彼女。
定期的に買い付けに行っている、お気に入りの生地類。
いつ作業できるかは分からないが、気に入った布をその都度購入し、大量に保管してある。
棚に収納されている生地達は、
『自分たちの出番はいつか』
と待ちわびている事だろう。
生地棚に収納された、綺麗に並んでいる生地たちを眺めていると、どんどんとインスピレーションが湧く。
椛(これから来る夏用に、新しいワンピースと、スカートが欲しいんだよな~♪)
一人暮らしの為、部屋にいるのは彼女一人だが、どれにするか生地棚を物色しているその様子は、久しぶりの作業にわくわくが隠し切れない表情をしていた。