第25章 コンフィデンシャルのその先に
椛「そっかぁ。
分かった。
いってらっしゃい…」
降谷「あぁ、行ってくるよ。」
そう言って起きあがろうとすると、首の後ろに手を回され引き寄せられる。
同時に頬にあたる柔らかい感触とリップ音。
寝起きだからだろうか。
まだ少し寝ぼけているのだろうか。
ゆったりした動きの彼女は、長めに頬に唇を落としていった。
唇がゆっくり離れると、
『好きぃ』と言いながら柔らかく微笑む彼女と目が合う。
降谷(こんなの朝から反則だろ…)
彼女からの初めての不意打ちのキスと(頬だが)一連の流れが頭の中でリピートされ、顔に熱が集まり赤くなるのを感じ、
思わず口元に手を当てる。
椛「私には数日前から似た様な事してくるのに、自分がされると照れるのね…
零。」
未だベットに横たわりながら、一連の彼の様子を見ていた彼女はそう言い微笑んでる。
なんだか、余裕そうなその態度が悔しくて、恨めしそうに見つめる。
降谷(俺がどれだけ我慢してるか…)
このまま唇に無茶苦茶にキスを落としてしまいたい衝動に駆られるが、それこそ、それをしたらそこで止められる自信が、残念ながら今は全く無い。
湧き上がる衝動を、理性を総動員してグッとこらえる。
軽く息を吐き心を落ち着かせる。
降谷(彼女は怪我人…
彼女は怪我人…
彼女は怪我人…
彼女は怪我人…………)
流石、精神力が高い公安のエース。
呪文の様に心の中で唱え、更に心を落ち着かせる。
そんな彼の心内など彼女はつゆ知らず。