第25章 コンフィデンシャルのその先に
朝のさえずりの音がして、降谷は目を覚ました。
腕の中では、彼女が穏やかに寝息をたてている。
未だ目を閉じて静かに眠るその姿を見ていると、顔が緩む。
降谷(こんな平穏な朝を迎えられる日が、俺に来るとはな…)
彼女の額にかかる髪をあげ、額に手を当てた。
降谷(…大分もう熱は引いてきた様だな。)
時計を見ると朝5時過ぎたところを指している。
降谷(9時間も…
途中全く目を覚ます事なく、熟睡してたのか俺は…)
ショートスリーパーの彼からしてみたら、考えられないぐらいの長時間睡眠だ。
そのまま暫く、眠る彼女を穏やかな気持ちで眺めていたが、そろそろ起きようと、胸に眠る彼女を起こさない様、ゆっくりと起きあがろうとする。
椛「…ん…れいぃ?」
軋むベットの反動で起こしてしまった様だ。
薄く目を開けて、起きあがろうとしている彼を確認する。
降谷「すまない…起こしてしまったか。」
椛「ううん…
おはよう、零。」
降谷「おはよう、椛。」
はじめて聞いた寝起きの掠れた声が、耳に心地良さを感じさせる。
椛「今、何時?」
降谷「朝5時過ぎたところだ。」
椛「うん…9時間か…
結構寝たね…
零はちゃんと眠れた?」
降谷「あぁ、お陰様でぐっすり寝れたよ。」
椛「良かったぁ…
もう行くの?」
降谷「いや、軽く朝のランニングをして、また戻ってくるよ。」