第25章 コンフィデンシャルのその先に
椛「えっ?何?
聞き取れなかった。」
彼女のその言葉を聞いて、降谷は顔を寄せて椛の耳元に唇を持ってくると静かに囁く。
降谷「…怪我が治ったら
…覚悟しとけよ。」
いつもより低めの低音ボイスで耳元で囁かれると、声の振動が脳まで届き、背中がぞわりとした。
彼の方を見ると、いつもは実年齢より幼く見えるその顔が、男の色香を漂わせた大人の表情をしていた。
その表情を見て更にゾクリとする。
心臓の音が一段とドクリと、大きく高鳴っていく事を感じた。
椛「うん…いいよ。
怪我が治るまでに、覚悟決めとくね。」
ちょっと仕返しに、彼の胸元に頬を寄せ、手を添えると、上目遣いでトーン低めで言い返してみる。
その彼女の様子に、完全に当てられたのか…
降谷「おいおい…
…あまり煽るのはやめてくれ。」
タイムと言わんばかりに、額に手を当てて距離を取られる。
急に二人の間に空間が空いてちょっと寂しい気もするが、今の自分の身体の状態の事を思うと、こればかりは仕方ない。
そして『ちょっとやりすぎたかな』と思い、彼を見る。
未だに、額に手を当て何かを耐えているような表情だ。
椛「ちょっと悪ふざけがすぎたね、ごめんね。
休める時は、零にも出来ればゆっくり休んで欲しいし、私もさっさと治して完全復活早くしたいから、今日は早めに寝よ?
私はさっき起きた時にシャワー浴びたから。
良かったら零、お風呂どうぞ?」
その言葉に顔を上げると、少し心配そうな顔をしながらこちらを見上げる彼女の姿。
いつも通りの彼女の姿を見て、我に返ったのか…
降谷「そうだな、椛の事も休ませたいし!
今日は早く寝よう!!
お風呂借りるよ。」
椛「うん。」