第4章 銀翼の魔術師
無事送り届け、帰路に着く安室。
流石にもうこの時間は通りを走ってる車は殆どいない。
先程まで賑やかだった車内は打って変わって、エンジン音だけが静かに響き渡る。
そんな車内で、先程まで繰り出されていた会話から彼女の心理を読み解く。
(それにしても好きな歴史上の人物を質問してくるとはな。
中々策士だな…。)
歴史上の好きな人物はその人の人となりをよく反映している為、思考回路や感情移入出来るポイント、性格が読みやすい。
(レオナルドダヴィンチに、菅原道真、明智光秀。
紫式部にハトシュプスト…
彼女は多才で且つ多彩、賢い人が好きなんだな。
これは俺に何か仕掛ける為の『振りの人選』なのか?
それとも本心か…?)
先程彼女が挙げていた人物をそれぞれ思い浮かべる。
(よく考えるとどっちにでも転べる人選なんだよな…
だがしかし…
もしこれが本当に本心なら…
いや、本心である事を願いたい。)
安室「ふっ。俄然興味が湧いてきましたよ…。」
その呟きは走行する闇夜に溶けていった。