第4章 銀翼の魔術師
自宅前に着き、前回と同じ場所で車が停車する。
安室「到着です♪」
椛「はい、今日もありがとうございました。
帰りも送って頂いて。色々お話し出来て楽しかっです♪」
安室「えぇ、僕もですよ。」
安室の方を見ると、ハンドルに腕を預けて
腕の上に突っ伏して柔らかな微笑みを浮かべてる。
月明かりに照らされて、なんだがその姿がとても情緒的に見えて、思わず目を見開いて固まってしまった。
そんなこちらにはお構いなしに言葉を発する。
安室「椛さんは今、お付き合いしてる男性はいるのですか?」
椛「えっ?居ないですけど…」
安室「そうですか、もし良ければ今度一緒にどこか出かけませんか?」
椛(この誘いは受けるのが正解なのか…
断わる事が正解なのか…
一瞬迷うが、本来の役割を考えると…)
椛「…お誘いありがとうございます。私でよければ是非。」
その返答を聞いて安室は頭を上げた。
安室「…良かった。どこか希望はありますか?」
椛「そうですね…
パッと浮かばないのでその辺りはまた後日?」
安室「分かりました。
では日にちと場所はまた後ほど。」
椛「えぇ、分かりました。」
そう言ってドアノブに手をかけるが、再度振り向き
椛「送っていただきありがとうございました。
帰り気をつけて。
安室さんも今夜はゆっくり休んでくださいね。」
そう言って微笑む。
安室「えぇ、椛さんも。おやすみなさい。」
前回に引き続き、車を降りると、走り出すまで安室の車を見送る。
ハザードランプを点滅させ見送りに返事をくれる。
つい数日前のデジャブに思わず笑みが溢れる。
走り去る姿を見届けて、建屋に入っていった。
そして先程彼が挙げていた好きな人物を思い浮かべる。
楠木正成に神武天皇。
徳川家康とその四天王。
西郷隆盛に東條英機。
(…愛国心ダダ漏れか!?
溢れ出ちゃってるよw
この辺りは隠す気全くないんだな。)
思い出した彼の人選に良い意味での笑いと、安心感が込み上げる。
(今日はもう流石に夜が遅いし、色々なことは明日にして、シャワー浴びてすぐ寝よ…。)
と心に決めるのであった。