第24章 アクアパーク川品
止血をする彼の様子を見ていて…
椛(今日、スカートじゃなくて、デニムのパンツで来て良かったな…)
なんて事を思う。
止血の応急処置が終わると、再び彼女を横抱きにして、急ぎ会場を出る。
水族館の建物外に出ると、避難した人達や、警察、消防、救急隊等で外はごった返していた。
安室「通してください!!」
避難した人たちの人混みを避けて、既に数台止まっている救急車の所まで彼女を抱えて急ぎ走る。
安室の様子に気づいた救急隊員が、誘導して一緒に救急車まで走る。
彼女を抱えたたまま救急車に乗り込むと、傷に触らない様に静かにゆっくりと、ストレッチャーに寝かせた。
彼女は、大きく足を切って血を流していた事と、プールの海水に浸かっていた事で体温が下がっているのか、唇は青白く、そして寒さで震えていた。
安室はストレッチャーのすぐ横に座り、彼女の手を握りながら、救急隊員に状況を説明する。
病院に向けて出発しようと、救急隊員の一人が後ろの扉を閉めようとしたその時、外から男性の声が…
「降谷さん!!」
その声に一瞬ピクリと僅かに反応するも、彼女の手を握ったまま、救急隊員と話を続けている彼の姿。
彼女は握られている安室の手を握り返すと、そのままその手を彼の体に押す様に返した。
その行動に違和感を感じたのか、一度救急隊員との話を止めて、彼女の様子に目を向ける。