第24章 アクアパーク川品
椛は、意識が飛びそうになっている頭を、必死に手繰り寄せて…
言葉を紡ぐ。
椛「安室さん…
助けてくれてありがとう。
私は大丈夫だから…
行って。
安室さんの事、
必要としてる人が、
まだ外にいるよ…」
そう言って力なく微笑む彼女の言葉を聞いて、安室は確信する。
安室(…やはり君は、僕の正体を知っていたのか…。)
『早く行って』と言わんばかりに、安室の体を、握られた手で力なく三度押し返す。
椛「大丈夫。
命に関わる様な怪我じゃ無いから…
行って。」
彼女の様子に、後ろ髪を引かれる思いもあるが…
安室「…終わったら必ずすぐに、病院に向かう。」
そう言うと、自身を押している彼女の手を力強く握り返す。
そのまま彼女の手の甲に口付けを落とすと、救急隊員に声をかけて、救急車から降りていった。
椛(さっき呼んでた声は風見さんかな…
会った事はないけど…。)
度々出てくるこの問答。
そして、安室が救急車から降りていく姿を確認すると、安心した様に力なく微笑み、そのまま椛は意識を手放した。