第24章 アクアパーク川品
そんな束の間の抱擁は、長くは続かず…
足元から『ズズズズズ…』と言う鈍い音が、突如振動と共に響いて来た。
椛(えっ??この音何?地震?)
お互いを抱きしめていた腕を緩めて、音がする地面に目を向ける2人。
先に異変に気付いたのは安室の方。
安室「コンクリートが抜ける…」
椛「!?」
安室「入口まで走って!!」
安室の言葉の後に、床のコンクリートがひび割れて砕け、沈み始めると、コンクリートの中の鉄筋が顔をのぞかせ始める。
先ほどヘリから大量に撃ち込まれた機関銃の銃弾によって、強度を保てなくなったのだろう。
重さに耐えられたくなったのか、クラッシュしているヘリの床部分からどんどん床がひび割れて、崩れて抜け始める。
そのままヘリは『ズズズ』と不気味な音を立てながら、下層階へ落ちていく。
ヘリの側で気絶している男も、そのままヘリと共に落ちていった。
この下は、先ほどまでショーが行われていたイルカショーのショー会場だ。
ヘリは落下して『ドスン』と大きな音を立てると、落下の衝撃で炎上し始めた。
恐らく音からするに、水槽の方ではなく観客席の方に落ちたのだろう。
2人も立ち上がり、安室は彼女の手を引きながら、急いで屋上入口の階段まで走る。
床はどんどん崩れていき、ひび割れも2人の後を追う。
下へ落下し、炎上したヘリから黒い煙が立ち上り始めていた。