第24章 アクアパーク川品
あまりにも突然の事に、完全に身体を硬直させて、目を見開く彼女。
椛(えっ??
今、私、キスされたの?
何故…?)
かたや安室の方は、満足そうに微笑みを浮かべている。
椛「何で…」
未だ鼻先が触れそうな距離のまま、やっと彼は言葉を紡いでくれた。
安室「椛さんが、余りにも可愛らしいから。」
今までで1番近い距離にある彼の微笑みに、目を奪われる。
だがそんな彼の言葉に、違和感を感じる彼女。
椛(今日、安室さんと顔を合わせてから可愛い要素なんて私、あったっけ…??)
安室をショー会場で見つけて、追いかけて来てから、今の今までのことを振り返る。
椛(爆弾解体して、
安室さんの銃で爆弾犯に向けて発砲して、
縄梯子をヘリに投げつけて…
えっ??
ビックリする程、可愛いから掛け離れてると思うんだけど…)
訳がわからないと言った表情を、安室に向けるが…
未だ目の前にある安室の表情は、先程から変わらず穏やかに笑みを湛えている。
安室「貴方が無事で良かった…。」
そう言って微笑みを深くすると、膝立ちのまま抱きしめられた。
彼女からしてみれば、全く辻褄の合わない彼からの突然のキスと言動に、驚きを隠せないが…
抱きしめられ、身体が触れる所から、布越しで伝わる体温の温もりを感じると、酷く安堵してしまう。
彼女もそのまま、安室の背中に腕を回して抱きしめ返し、彼の抱擁に答えた。