第24章 アクアパーク川品
椛「安室さん…
何か可笑しな事、ありました?」
彼の心配をしながら話しかけるが…
安室は彼女の問いには答えずに、未だ小さく笑い続けている。
椛「……
雨の様な銃弾避け続けて…
何か頭のネジが抜けちゃったんですか?」ジト目
安室「いや…そんな事は無いと思うが…
ふふふっ…はははははっ…」
小さく笑い続けている彼を見ていると、張り詰めていた緊張感が少し溶け、こんな時でも思わず気が緩みそうになる。
椛「…そもそも、あんなの避け続けられるなんて、やっぱり安室さんは超人ですよ。
凄すぎる…
『実は前世は忍者なんです♪』
とか言ってきても、今なら100%信じてしまう自信があります…
もしそうだとしたら…
安室さんは伊賀かな?
甲賀かな??
…どっち派ですか??」
結局安室が笑ってるばかりで、あまり言い返して来てくれないので、彼女が一方的に話しているような構図になってしまう。
そしてだんだんと話が逸れて行く。
安室(周りはこんな状況だというのに…
今度は人を忍者扱いかよ…
ハハっ…
本当にもう…
可愛い人だな…
この人は…)
安室の心の言葉など、彼女はつゆ知らず。
先程から真隣で、小さく笑い続けている彼を見ていたら、彼女もだんだんと、もらい笑いして来た。
椛「ちょっと安室さん!
ふふっ…
良い加減、笑うのやめてくださいよ…
ふふふっ…
あまり笑い続けられると、もらい笑いしてしまって…
私までなんだか、笑えて来てしまいま………」
横で小さく笑っている安室を横目に、彼女は一人で喋っていると、安室の右手がゆっくりと伸びて来て、彼女の左頬に愛おしそうに触れた。
そして流れる様に、彼女の左耳の後ろに手が回る。
そのまま『クイっ』と右を向かされると…
目の前には瞳を閉じる安室の顔と、唇には柔らかい感触。
安室は、初めて触れる柔らかい彼女の唇の感触を楽しむように、自身の唇を暫く馴染ませると…
リップ音と共に離れていった。