第24章 アクアパーク川品
安室は男の手元を見ながら、タイミングを見計らい、身を潜めていた棚の陰から一瞬にして姿を現すと、一気に男の後ろから腕を回して首元を閉め上げる。
男「!?」
作業に集中して反応が遅れた男は、安室の存在に気付いた時には避けきれなかったが、関節技が決まる直前に首元に腕を入れて、技が決まり切る所をギリギリで防いだ。
その様子に姿を現そうとした彼女だったが、気配を察した安室から強い視線を感じ一瞬止まる。
安室(出てくるな。)
暗くてハッキリとは見えなかったが、そう言っているように見え、踏み出そうとした足を止めて、そのまま様子を伺う。
男「…へぇ。
お前、俺の可愛い弟達を、サツに差し出した野郎だな…」
安室「お前が今回の元締めか?」
しゃがれた声で言葉を放ったその男からは、何というか…
とにかく黒く薄気味悪い雰囲気が醸し出されていた。
安室「何故無差別にこんなことをする?
ここに仕掛けた爆弾は全部でいくつだ?」
ギリギリと締め上げながら男に問うが、苦しそうにもがきながら薄気味悪い笑みを浮かべている。
男「へっ。
お前に話す義理は…
無い…
ねっ!!」
男は首元に入れていない方の左手を、ゴソゴソと自身の腹の方に持っていくと、そこから拳銃を取り出した。
その事にいち早く気づいた安室は、一瞬で拘束を解き、男と距離を取る。
男が銃を構える寸前に、銃を持つ方の手を狙って蹴り上げる。
その反動で男の手から離れた拳銃は放物線を描きながら、空中に弧を描くと、そのまま安室の手元に吸い込まれていった。