第24章 アクアパーク川品
安室は振り返り、背後にいる彼女に目線を合わせると、何やらジェスチャーをして合図を出す。
どうやら安室は反対側から回り込んで、確保するつもりのようだ。
すると、先ほどから自身の手に持っている拳銃を、彼女に差し出す。
椛(えっ?)
流石にその安室の行動に、驚いた表情を彼に向けたが…
『何かあったらこれで身を守れ』
と言う事だろう。
『彼はそれで大丈夫なのか』
と一瞬疑問に浮かぶが…
彼がそう判断したらなら
『ここは彼の指示に従った方がいいだろう』
と思い、差し出された拳銃を受け取り、彼に向かって頷きを向けた。
彼女の頷きを確認すると、眉間に軽く皺を寄せ、先ほどから厳しい顔つきをしていた表情を崩し、再び先程よりも更に深く…柔らかく笑った。
深くかぶったキャップから除く、今置かれている現状とはかけ離れた柔らかい微笑みに、心臓が思わず鷲掴みされるような感覚に陥る。
椛(こんな時に、そんな笑顔向けるなんて反則でしょ…
もう…)
赤くなりそうな顔を落ち着かせる彼女。
そんな彼女の状況はつゆ知らず。
そのまま彼女の元を離れて、回り込むために移動を始めた安室。
彼女はその場に待機したまま、引き続き何やら作業を続ける男と、安室の行動を確認し様子を伺う。
作業をする男のすぐそばの棚の後ろまで安室は移動すると、彼女に何やら合図を送る。
どうやら男が作業しているのは爆弾の用だ。
作業に集中しているのか、男はまだ安室の存在に気づかない。